眼圧の正常な緑内障

これまで緑内障について説明してきました。なぜ緑内障になるのかというと、それは眼球の中の圧力(眼圧)が高くなって、眼球内の重要な組織が障害を受けるということでした。
しかし、話が混乱するので説明を避けてきましたが、もう1つの機序があります。
眼圧が正常であるにもかかわらず、眼圧が高くなる緑内障と同じような障害を示すグループがあります。
歴史的にはかなり前から報告はあったのですが、意外にその数が多いことがわかりました。1988年に実施された日本における緑内障に関する疫学調査の結果は世界で緑内障に対する考えに強い影響を及ぼすことになったのです。
その調査結果は40歳以上の人100人の中で緑内障は3.6人、そのうち眼圧の高くなるタイプは0.58人で、眼圧の正常な緑内障は2.04人でした。
2002年には岐阜県の多治見市で同じ様な緑内障疫学調査が行われ、この結果では正常眼圧の緑内障の人が100人に対し6人くらいいることが判明しました。眼圧の正常なタイプは従来から言われてきたタイプの約3倍以上いることになります。
緑内障の治療の根本は眼球の圧力を下げることですが、元々その圧力が低いため今までの治療に対する考え方では不十分であることがわかったのです。
そこで、眼圧を下げる方法、視神経の血流を改善する方法、視神経を障害から保護する方法の3段構えで治療にあたります。
しかし、この3つの治療の中で、眼圧下降法しか臨床的に効果のあることが確認されていません。