点眼治療の実際
点眼治療の目的は眼圧を下げることにあります。ようするに無治療時の眼圧より眼圧が下がらなければなりません。しかしながら、眼圧の項目で説明しましたように、多くの因子の影響で眼圧は変わりますので、いきなり点眼治療を開始しても、点眼後の眼圧が点眼前に比べて本当に下がっているのかどうかわからなくなります。そのためには、一番大きな影響を及ぼす眼圧日内変動を把握してから、点眼治療を開始する必要があるのです。これを眼圧ベースライン測定と言います。しかし、日内変動測定は2時間から3時間毎に眼圧を24時間測定するのですが、現実的には大変で入院も必要になってしまいます。そこで、日中の変動を大まかに把握することで、その人の眼圧変動をおおざっぱに把握できるのです。この日中の眼圧変動測定は決まった方法はありませんので、施設によって違います。簡単にいいますと、治療前に無治療ままの眼圧を何回か測定しようということです。このようにして日中の変動がわかりますと、初めて点眼薬を使用することになります。
子どもの緑内障
ご自分のお子様に緑内障の疑いがあると言われただけでも大変ショックなことだと思います。緑内障は大人の病気と思っておられる方が多いと思いますが、先天緑内障というものがあります。
生まれた時から既に緑内障になっている場合と、発育に従って緑内障を発症する場合があります。
小さなお子様の緑内障の検査は非常に困難になります。
検査内容は大人と全く同じですが、その中心となる検査は、視神経の精密検査と、排出口の検査の結果から判断して、検査と同時に緑内障手術を行うこともあります。乳幼児の場合は、全身麻酔下での検査となりますので、麻酔科のある施設が必要です。
生まれた時から既に緑内障になっている場合と、発育に従って緑内障を発症する場合があります。
小さなお子様の緑内障の検査は非常に困難になります。
検査内容は大人と全く同じですが、その中心となる検査は、視神経の精密検査と、排出口の検査の結果から判断して、検査と同時に緑内障手術を行うこともあります。乳幼児の場合は、全身麻酔下での検査となりますので、麻酔科のある施設が必要です。
急性緑内障とレーザー治療
急性に起こる緑内障があります。
同じ緑内障でも、慢性に経過するものとは全く違うメカニズムで起こります。
このタイプでの緑内障は急激に起こり、眼圧も60や70(正常が15くらい)になることがあります。同時に視力は急激に低下し、眼の強い痛みや激しい吐き気が起こり、放置すると短期間で視力が消失してしまいます。
ですから、緊急の処置や手術が必要になります。
しかし、このタイプは発作が起こる前にある程度予測することが可能で、予防する方法があります。
それが、レーザーです。外来で簡単にできますし、合併症といったものもほとんどありません。
一度発作が起こってからでは処置が大変難しくなりますので、このタイプの緑内障で発作の危険性があるなら、症状のないうちに施行するのは意味のあることです。
同じ緑内障でも、慢性に経過するものとは全く違うメカニズムで起こります。
このタイプでの緑内障は急激に起こり、眼圧も60や70(正常が15くらい)になることがあります。同時に視力は急激に低下し、眼の強い痛みや激しい吐き気が起こり、放置すると短期間で視力が消失してしまいます。
ですから、緊急の処置や手術が必要になります。
しかし、このタイプは発作が起こる前にある程度予測することが可能で、予防する方法があります。
それが、レーザーです。外来で簡単にできますし、合併症といったものもほとんどありません。
一度発作が起こってからでは処置が大変難しくなりますので、このタイプの緑内障で発作の危険性があるなら、症状のないうちに施行するのは意味のあることです。
緑内障と遺伝
自分の病気だけではなくご家族のことも心配なのは当然です。特にお子様をお持ちの方はなおさらと思います。
ここで緑内障と遺伝を考える前に、憂慮する事柄があります。緑内障とは単一な病気ではなく、様々な原因で起こる病気の集まりを言います。
ですから、緑内障の原因となる病気があるような時には、緑内障としての遺伝はあまり問題ではなく、その原因となった病気が遺伝するかどうかということに依存していきます。
緑内障と遺伝とを考えさせるいくつかの証拠があります。
1つは、家族的に緑内障の方がいる家系がある事です。特に、親子3代まで確認されれば遺伝が濃厚となってきます。
2つ目は、緑内障はいくつかのタイプに区分されますが、その区分の割合が国によって違うので、民族学的な遺伝があるということです。
最近の緑内障の遺伝の研究は著しく進歩し、かなりのところまで解明されました。この中で期待できるのは緑内障遺伝子診断ですが、診断を依頼する前にいろいろな問題があることを知る事が大切です。代表的な問題を列記します。
現在のところ、緑内障すなわち遺伝病という考えは正しい表現ではありません。中には遺伝を強く疑う家系があると考えた方がよいでしょう。多くの症例では単発的に発生しています。
ここで重要なことは、“多くの緑内障は末期まで症状がない”ので、もし家族で緑内障の方が見つかったら、遺伝を心配するより、これをよい機会と考え、家族全員が緑内障の検査を受けられ、緑内障の早期発見に努めることです。
ここで緑内障と遺伝を考える前に、憂慮する事柄があります。緑内障とは単一な病気ではなく、様々な原因で起こる病気の集まりを言います。
ですから、緑内障の原因となる病気があるような時には、緑内障としての遺伝はあまり問題ではなく、その原因となった病気が遺伝するかどうかということに依存していきます。
緑内障と遺伝とを考えさせるいくつかの証拠があります。
1つは、家族的に緑内障の方がいる家系がある事です。特に、親子3代まで確認されれば遺伝が濃厚となってきます。
2つ目は、緑内障はいくつかのタイプに区分されますが、その区分の割合が国によって違うので、民族学的な遺伝があるということです。
最近の緑内障の遺伝の研究は著しく進歩し、かなりのところまで解明されました。この中で期待できるのは緑内障遺伝子診断ですが、診断を依頼する前にいろいろな問題があることを知る事が大切です。代表的な問題を列記します。
- たとえ遺伝子を持っていても、発症するとは限らない。
- 緑内障には色々なタイプがあり、すべての緑内障には当てはまらない。
- 親子であるかの診断も同時にわかってしまうために、必ず患者さんの同意が必要。
- 遺伝形式が多様化している。
- まだ治療にはいたらない。
現在のところ、緑内障すなわち遺伝病という考えは正しい表現ではありません。中には遺伝を強く疑う家系があると考えた方がよいでしょう。多くの症例では単発的に発生しています。
ここで重要なことは、“多くの緑内障は末期まで症状がない”ので、もし家族で緑内障の方が見つかったら、遺伝を心配するより、これをよい機会と考え、家族全員が緑内障の検査を受けられ、緑内障の早期発見に努めることです。
視力は変わる?
外来で診ていますと、視力検査の結果が前回より悪くなっているために患者さんが心配になることが少なくありません。
視力検査の原理を説明しますと、明らかにわかるような大きな指標を提示して、次第に小さな指標に変えていきます。ということはある程度以上の小さな指標になりますと、わからなくなってしまいますね。この明らかにわかる指標とまったく判断ができない指標との境界を求めることが視力検査なのです。ですから、境界近くになりますと、見えたり見えなかったりするはずです。視力検査では5個の同じ大きさの指標を提示するのですが、5個のうち3個の指標が見えて正解であれば、その指標はパスしたとされます。逆に5個の中の2個以下しかわからなかった場合は不正解とし、その大きさの指標は見えなかったとされます。この時、指標を小さくしていき、5個の中の3個以上見えたところの指標サイズがあなたの視力になるのです。
ようするにこの5個の中の3個見える境界は、確率で示されますので、毎回絶対的なものではなく、測定のたびに変動するのが普通なのです。
本当に病的に視力低下があれば問題ですが、疲労の影響や検査の不慣れなどが原因となっていることがけっこうありますので、すぐに不安にならず担当の眼科医の判断を待ちましょう。
視力検査の原理を説明しますと、明らかにわかるような大きな指標を提示して、次第に小さな指標に変えていきます。ということはある程度以上の小さな指標になりますと、わからなくなってしまいますね。この明らかにわかる指標とまったく判断ができない指標との境界を求めることが視力検査なのです。ですから、境界近くになりますと、見えたり見えなかったりするはずです。視力検査では5個の同じ大きさの指標を提示するのですが、5個のうち3個の指標が見えて正解であれば、その指標はパスしたとされます。逆に5個の中の2個以下しかわからなかった場合は不正解とし、その大きさの指標は見えなかったとされます。この時、指標を小さくしていき、5個の中の3個以上見えたところの指標サイズがあなたの視力になるのです。
ようするにこの5個の中の3個見える境界は、確率で示されますので、毎回絶対的なものではなく、測定のたびに変動するのが普通なのです。
本当に病的に視力低下があれば問題ですが、疲労の影響や検査の不慣れなどが原因となっていることがけっこうありますので、すぐに不安にならず担当の眼科医の判断を待ちましょう。