緑内障と白内障の同時手術は可能か?

同時手術は可能です。緑内障の患者さんが白内障の手術を受ける場合、術後の炎症や眼圧上昇は正常の方にはそれほど問題ありませんが、元々緑内障がありますと、少しの眼圧上昇でも大きく影響します。
このようなことが予測できる時には同時に緑内障の手術も併用します。
緑内障の手術を受ける必要があるが、もともと白内障があり、別に手術をすると緑内障手術の結果に悪影響が予測できる時にも同時手術を行います。

心拍と眼圧

非常に特殊な眼圧計で持続的に測定できるタイプがあります。これを使いますと実際の眼圧は心拍に応じて変動しているのがわかります。と、いうことは心拍数が60であるとしますと、眼圧は1分間に60回のリズムで波をうつように変動しているのです。

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緑内障は手術できるか?

手術できます。注意していただきたいのは、緑内障の手術をしてからしばらくして視力が急に低下してくる場合があるということです。このような時、ほとんどは網膜の神経がほとんど消失してしまった状態で手術を受けたと考えられます。
緑内障が怖いのは、視神経の大部分がなくなっていても、それは周辺を見るための神経であって、眼の中心に存在している、視力に直接関係している神経は最後まで温存されるということです。
この最後に残った神経は、完全には正常ではなく、少しの環境変化にも敏感に影響を受け、急速に消失しやすいものなのです。余裕のある健康な神経ではなく、疲労で衰弱しきった病的な神経が一生懸命働いて、かろうじて視力を保っていたのです。このような状態で手術をした場合、手術の結果にかかわらず残った神経が消失してしまう可能性があります。
手術をしなくても視力が消失してしまう危険性は高いわけですから、このような患者さんに対して緑内障の手術をするかしないかの判断は非常に難しく、手術をした場合に起こりうる事と、手術をしなかった時に起こりうる事について十分に話をお聞きになった上で決定されるべきです。

緑内障の進行の判断

治療を考えるうえで最も重要で、患者さんが最もご心配になるのは、緑内障が進行しているのかしていないのかの判断です。これには多くの方法がありますが、現在のところ多くの緑内障専門医が認めているのは視野による判定です。これには複数の静的量的視野検査の結果が必要で、これらの結果を統計学的に回帰分析にかけて行います。この分析で緑内障が進行しているのかどうか、もし進行していれば進行速度が求められます。もちろん実際の緑内障はこの分析通りの進行になるとは限りませんので、あくまでも重要な参考値とし、総合的に眼科医が判断するものです。早期の緑内障では視野が正常であると申しましたが、そうしますとここで役に立つのはOCTの結果です。視野と同じようにOCTの複数の結果の解析で進行の有無を見つけるのです。しかしながら、OCT自体、まだ再現性や機器のよる結果の違いなど、未解決な点があります。

緑内障術後の視力

手術の方法により若干説明が違ってきます。
眼球内の水の排出口を中から切開する方法がありますが、この場合ですと切開直後から眼球の中に出血が多少なりとも起こります。この方法の手術では眼球内への出血が効果的な手術が行われたかを判断するひとつの根拠になっています。これは、視力低下は一時的なものですので、出血が吸収すると視力は回復してきます。大体、2週間くらいで吸収します。
もう1つの手術方法は、眼球の中の水の排出口を切除し、水を完全に眼球の外へ導くものですが、この場合ですと、術後に眼圧がかえって下がり過ぎてしまうことがあります。眼圧があまりに下がりすぎてしまうと、眼球の壁を構成している角膜や網膜に皺が発生し視力が低下してしまいます。この場合、眼圧低下の程度にもよりますが、視力低下が数日続けば眼圧を適当に上げる処置を行ったり、薬物を使用しますが、多くは自然に回復します。
このように、緑内障手術では一時的に視力が低下したり変動したりすることが少なくありません。